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古民家・和室の雨漏り|金沢の土壁と真壁で起きる見えにくい浸水
「天井は何ともないんです。ただ、床の間の壁が、去年より色が濃くなった気がして」
金沢市東山の築六十年を超えるお宅で、こう言われたことがあります。ご相談の電話では雨漏りという言葉すら出てこなくて、「壁の色が変わった」だけでした。
古い和室の雨漏りは、こういう出方をします。新しい家のように、天井にくっきりした輪のシミが出ることが少ない。だから気づくのが遅れ、気づいたときには下地が相当進んでいる。金沢の市街地には古い家がたくさん残っていますから、この話は他人事ではないと思います。
なぜ古い和室ではシミが出にくいのか
理由は、材料の吸水の仕方です。
現代の住宅の天井は、石膏ボードにビニールクロスを張ってあります。ボードは水を吸って変色し、クロスは水を通しにくいので、水が裏側に溜まって輪のシミになる。だから「天井にシミ」という分かりやすい形で出ます。
古い和室は違います。天井は杉の板張りか竿縁天井、壁は土壁か砂壁、そこに聚楽や漆喰が塗ってある。これらは全部、水を吸って通す材料です。
つまり、水が来ても表面に溜まらない。板や土が吸って、じわじわ広い範囲に散らしてしまう。結果、輪のシミではなく「なんとなく全体が濃くなる」「木目が黒ずむ」という変化になります。日々見ている家族ほど、この変化に気づけません。
古い和室の雨漏りは、シミではなく色と匂いで気づくと思っておいてください。
見るべきは、この四つ
ご自身で確認するときの手がかりを挙げておきます。
- 天井板や長押(なげし)の木目が、一部だけ黒ずんでいないか
- 土壁や砂壁の表面が、粉を吹いたように白くなっていないか
- 畳の縁や床の間の地板が、季節と関係なく湿っていないか
- その部屋だけ、閉めきると土のような匂いがしないか
二つめの白い粉は、エフロレッセンスと呼ばれるものです。壁の中を通った水が、材料の成分を溶かして表面に運び、乾いて結晶になる。これが出ているなら、そこを水が通っています。
四つめの匂いは、意外に確度の高いサインです。人の鼻は湿った土や木の匂いによく反応します。長く住んでいる方は慣れてしまいますが、久しぶりに帰省したお子さんが「この部屋、匂うね」と言った、という話をよく伺います。
古い家の雨漏りは、屋根だけを見ても分からない
金沢の古い和風住宅は、屋根が土葺きの瓦であることが多い。瓦の下に葺き土を敷き、その上に瓦を並べてある工法です。
この土が曲者で、少量の水なら土が吸って保持してしまいます。だから雨のたびに室内へ落ちるのではなく、土が飽和した何度目かの雨で、まとめて下りてくる。症状と天気が一対一で対応しないので、原因の特定が難しくなります。
さらに、古い家は真壁といって、柱が壁の表に出ている作りです。柱と土壁のあいだにはわずかな隙間があり、上から来た水はこの隙間を伝って下へ流れる。屋根で入った水が、二間も三間も離れた場所に出てくることがあります。
こういう家では、屋根の上、天井裏、壁の上部、それと縁側や庇の取り合いまで、順番に当たっていくことになります。時間がかかる調査ですが、途中で切り上げると原因を取り違えます。
直すときに悩ましいのは、仕上げのほう
古い和室の雨漏りで、費用の読みが難しいのは屋根ではなく内装です。
屋根側は、瓦の葺き直しや谷板金の交換で、範囲が決まれば金額も見えます。土葺きの瓦をめくって葺き直すとなると、一坪あたりの単価が現代の屋根より高くなりますが、それでも見積もりは立てられます。
問題は、土壁と天井板です。土壁を部分的に補修すると、新しい部分だけ色が違う。全面を塗り直せば揃いますが、左官の手間がかかります。天井板も、一枚だけ替えると木目と色が浮く。古い木の色に合わせるのは、材料の入手から難しい。
だから私たちは、屋根を直したあと「内装をどこまでやるか」を必ず相談していただくようにしています。雨が止まればそれでいい、というお客様もいれば、床の間はきちんと直したいという方もいる。ここは予算とお気持ちの兼ね合いなので、こちらから決めることではありません。
東山のお宅は、庇の取り合いが原因でした
冒頭のお客様の家では、屋根に上がっても瓦のズレは大きくありませんでした。天井裏に入ると、床の間の上あたりの梁に、古い水の跡と新しい湿りが両方ありました。水は上から来ているのではなく、横から来ていた。
原因は、縁側の上に付いた庇と、母屋の壁の取り合いでした。庇の雨押え板金が錆びて穴があき、そこから壁の中に入った水が、真壁の柱の脇を伝って床の間の裏まで回っていたわけです。距離にして三メートルほど離れていました。
工事は、庇の板金のやり替えと、母屋の壁との取り合いの処理。それと、瓦のズレを何か所か直しました。屋根と板金で二十六万円ほど。土壁は乾燥を待ってから、お客様が知り合いの左官屋さんに頼まれました。
正直なところ、この現場は天井裏に入っていなければ見当を付けられませんでした。古い家の雨漏りは、屋根の上と天井裏の両方に入れる業者に見てもらってください。片方だけでは、水の道筋が読めません。
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津幡町の瓦屋根で雨漏りを直した現場はこちらです。
【石川県河北郡津幡町】瓦屋根 雨漏り修理 T様邸
古いお宅の雨漏りのご相談
古い和室は、シミが出るころには下地が進んでいます。金沢市と近郊で、屋根の上と天井裏の両方に入る調査をお受けしています。内装をどこまで直すかは、雨が止まってからゆっくり決めていただければ大丈夫です。調査方法の詳細は雨漏り診断のページに載せていますので、よろしければどうぞ。