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地震のあとに雨漏りが始まったら|金沢・能登の揺れで屋根に起きたこと
地震のあと、屋根を見上げて「瓦が落ちていないから大丈夫」と判断された方は多いと思います。
ただ、屋根の被害は落ちるか落ちないかの二択ではありません。地震で本当に怖いのは、見た目が変わらないのに雨仕舞いだけが壊れている状態です。そして、それは揺れの直後ではなく、数か月から一年後の雨で症状として出ます。
令和六年の能登半島地震のあと、金沢市内でも屋根の相談を数多くいただきました。そこで見てきたことをお話しします。
揺れが屋根に何をするか
地震の力は、建物を水平方向に揺さぶります。屋根は建物の一番上にあるので、揺れの幅が最も大きくなる場所です。
このとき、屋根の各部材はそれぞれ違う動き方をします。瓦は一枚一枚が独立して動く。棟は重心が高いので大きく振られる。板金は薄いので変形する。下地の野地板は建物と一緒に動く。動き方の違うものが接している場所に、ずれが生じます。
具体的に何が起きるか。棟の中の土や漆喰にひびが入る。瓦の噛み合わせが数ミリずれる。板金の継ぎ目が開く。ビスや釘がわずかに浮く。谷板金と屋根材の重なりが動く。
どれも、地上から見上げて分かるものではありません。瓦が一枚落ちていれば気づきますが、二ミリずれただけの瓦は、下からは元通りに見えます。
なぜ症状が遅れて出るのか
ずれた隙間から入る水は、最初はごく少量です。屋根の下のルーフィングが健全であれば、入った水はその上を流れて外に出ます。だから、揺れの直後にいきなり雨漏りすることは少ない。
問題はそのあとです。少量でも継続して水が入ると、ルーフィングの重なり部分や釘穴のまわりから、じわじわ下地に染みはじめます。半年、一年と繰り返すうちに、野地板が水を含むようになる。そして、ある日の大雨で、ついに室内まで届きます。
能登の地震は一月でした。私たちのところに雨漏りの相談が増えたのは、その年の梅雨からです。半年のタイムラグがありました。地震と雨漏りが結びつかず、「経年劣化ですかね」とおっしゃる方が多かったのを覚えています。
地震のあとに見ておくべきところ
屋根に上がらずに確認できる範囲で、この四つを見てください。
ひとつめ、棟のライン。屋根の一番高いところの線が、まっすぐか。少しでも波打っていたり、片側に傾いていたりしたら、中の土や下地が動いています。
ふたつめ、瓦の目地。瓦屋根なら、瓦と瓦のあいだの線が揃っているか。一部だけ間隔が広がっていないか。双眼鏡があれば、地上からでも分かります。
三つめ、地面。屋根の下、建物の周囲に、瓦のかけらや漆喰の白い粉が落ちていないか。棟の漆喰が割れると、少しずつ剥がれ落ちます。これは動いた証拠です。
四つめ、室内。天井や壁に、地震のあとから出た新しいひびがないか。建物本体が動いていれば、屋根も動いています。
罹災証明と保険の関係を先に確認する
地震による屋根の被害は、火災保険では基本的に補償されません。地震保険に加入している場合のみ、対象になります。ここは誤解が多いところです。
地震保険は、建物の主要構造部の損害の程度で全損、大半損、小半損、一部損に区分され、それに応じて保険金が支払われます。屋根だけの被害だと一部損の認定になることが多く、契約金額の五パーセントというのが一般的です。屋根の修理費全額が出るわけではありません。
もうひとつ、公的な支援があります。市町村が発行する罹災証明書の判定に応じて、被災住宅の応急修理制度などが使えることがあります。金沢市でも能登半島地震に関して、屋根を含む修理費を市が負担する制度が設けられました。制度には受付期限があり、着工前の申請が原則です。
順番としては、地震のあとに被害に気づいたら、まず罹災証明の申請ができるかを市に確認する。次に地震保険の有無を確認する。それから修理業者に見てもらう。この順で動くと、使える制度を取り逃がしにくくなります。
金沢市千坂の築34年、一年半後に出た雨漏り
去年の夏、金沢市千坂の築34年の和瓦のお宅から、二階の押入れの天井が濡れているというご相談を受けました。地震から一年半が経っていて、お客様は地震との関連を疑っておられませんでした。
屋根に上がると、棟の熨斗瓦が数センチずれて、その隙間から中の葺き土が見えていました。漆喰も広い範囲で剥がれていました。周囲の平瓦にも、数ミリの噛み合わせのずれが何か所か。
天井裏を見ると、ちょうど棟の真下あたりの野地板が黒く変色していました。長期間、少しずつ水が入っていた跡です。
工事は、棟の積み直しと漆喰のやり直し、ずれた平瓦の直しです。足場を組んで、三十八万円ほどでした。野地板は変色していましたが強度は残っていて、張り替えずに済んだのが幸いでした。
このお客様には、罹災証明の相談を市にしていただきました。時間が経っていたため対象にはなりませんでしたが、もし地震の直後に屋根を見てもらっていれば、話は違っていたかもしれません。
正直なところ、地震のあとは業者も混み合っていて、すぐには見に行けません。それでも、連絡だけは早めに入れておいてください。順番待ちでも、記録が残ります。結局のところ、揺れたあとの屋根は「今は何ともない」ではなく「これから出るかもしれない」という目で見ておくのが、金沢に住む者としては現実的だと思っています。
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能登半島地震のあとに七尾市で対応した瓦屋根の事例です。
【石川県七尾市】瓦屋根 雨漏り修理 Y様邸
揺れのあとの屋根が気になる方へ
揺れのあとで屋根が気になっているなら、順番待ちでも早めにご連絡ください。金沢市と近郊で、棟や瓦のずれを含めた点検をお受けしています。罹災証明や保険の手続きに使う写真も、調査のときにお撮りします。調査の中身については金沢での雨漏り診断をご覧いただくと分かりやすいと思います。