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雨漏りを放置するとシロアリが来る?金沢の湿気と木部の腐りの話
雨漏りを放置するとどうなるか、という話をするとき、多くの方が想像されるのは天井のシミが広がることだと思います。実際に起きるのは、それだけではありません。
濡れた木は、腐ります。そして腐った木には、シロアリが来ます。この二つはセットで進むので、分けて考えないほうが実態に合います。
屋根屋の私が白蟻の話までするのは越権に思われるかもしれませんが、雨漏りの調査で天井裏に入ると、その入口の状態は必ず目に入ります。見えたものはお伝えするようにしています。
先に起きるのは腐朽菌、あとから来るのがシロアリ
順序があります。まず起きるのは、木材腐朽菌によるくされです。
木材腐朽菌は、木の中の成分を分解して栄養にするカビの仲間です。活動する条件は、水分と温度と酸素。木の含水率がおよそ二十パーセントを超えると動き出し、二十五度前後で最も活発になります。
雨漏りで濡れた野地板や垂木は、この条件をそのまま満たします。金沢の場合、さらに条件が悪い。年間の降水日数が多く、湿度が高い日が続くので、一度濡れた木が乾ききる前に次の雨が来る。屋根裏は熱もこもりますから、夏場は菌にとって理想的な環境になります。
そして腐朽菌でやわらかくなった木は、シロアリにとって格段に食べやすい。硬い健全な木より、水を含んで菌に分解されかけた木のほうが好まれます。だから雨漏りは、シロアリを呼び込む下ごしらえをしているようなものです。
雨漏りで来るのは「床下のシロアリ」とは限らない
シロアリというと、床下から上がってくるものだと思われがちです。日本で一般的なヤマトシロアリは、確かに土の中から蟻道を作って上がってきます。
ただ、屋根裏や小屋組みで見つかるのは、それだけではありません。雨漏りで慢性的に濡れている場所は、土に接していなくてもシロアリが定着できる湿り気があります。屋根の谷まわり、下屋の取り合い、出窓の下、ベランダの根元。こうした「濡れ続けている木部」で被害が見つかることがあります。
判断の手がかりになるのは、木の表面ではなく音です。柱や梁を軽く叩いたとき、健全な木はコンと硬い音がします。中が食われていたり腐っていたりすると、ボコッとにぶい音になる。天井裏に上がれる方なら、垂木を指の関節で軽く叩いてみてください。
もうひとつ、シロアリの羽アリが出る時期です。ヤマトシロアリは四月から五月、イエシロアリは六月から七月ごろに羽アリを飛ばします。雨漏りしている部屋で、この時期に羽アリを見たなら、一度専門の業者に見てもらう理由になります。
屋根屋が調査でどこまで見るか
私たちが雨漏りの調査で天井裏に入るときは、水の跡と一緒に、木部の状態も見ています。
見るのは、垂木と野地板の色、手で押したときの感触、蟻道と呼ばれる土の筋が付いていないか、それと木くずのような粉が落ちていないか。粉が落ちていれば、シロアリかヒラタキクイムシのどちらかを疑います。
ただ、私たちにできるのはここまでです。防除の施工には別の資格と薬剤の扱いが必要になるので、疑わしい状態を見つけたら、白蟻防除の業者を紹介するか、お客様に伝えて手配していただく形にしています。
順序としては、水を止めるのが先です。薬剤を撒いても、水が入り続けている限り木は乾かない。乾かない木にはまた菌が付きます。雨漏り工事と防除工事のどちらを先にするかで迷われたら、雨漏りが先だとお答えしています。
金沢市田上の築36年、二十年放置された和室の例
去年、金沢市田上の築36年のお宅で、和室の天井の雨漏りを見てほしいというご依頼をいただきました。ご本人の話では、二十年ほど前から雨のたびに少しずつシミが出ていたそうです。バケツを置いてやり過ごしてこられた。
天井裏に上がって驚きました。和室の上の野地板が、一畳半ほどの範囲で黒く変色して、指で押すと沈む状態でした。垂木も二本、断面の三分の一ほどが痩せていました。そして、垂木の側面に細い土の筋が走っていました。蟻道です。
屋根の原因は、谷板金の継ぎ目の穴でした。板金そのものは十センチ四方ほどの範囲の傷みです。それを二十年放置した結果、屋根の下地を張り替え、垂木を二本抱かせ、白蟻防除まで入ることになりました。屋根側の工事だけで五十八万円、防除は別業者で二十万円台と伺っています。
板金の穴だけの時点で直していれば、十万円台で済んだはずの工事です。私たちが対応した中でも、放置した年数と最終的な金額の関係が一番はっきり出た現場でした。
どこで線を引くか
すべての雨漏りが、ここまで進むわけではありません。水の量が少なく、乾く時間が確保できていれば、何年経っても下地が健全なこともあります。
分かれ目は、乾く暇があるかどうかです。年に数回の豪雨のときだけ入る水と、雨のたびに毎回入る水では、進み方がまるで違います。前者は下地が乾く時間があるので、腐朽菌が定着しにくい。後者は常に湿った状態が続くので、数年で下地に来ます。
ご自身で見る目安は、シミが乾くかどうかです。雨のあと数日で乾いて色が薄くなるなら、まだ余裕があります。晴れが続いても湿ったまま、あるいはシミの縁に黒カビが輪になって出ているなら、その裏の木はすでに乾いていません。この状態なら、屋根の工事を先送りしないほうがいいと思います。
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下地の傷みが心配な方へ
シミが乾かない、縁に黒カビが輪になって出ている。そうなっていたら、下地はすでに湿ったままです。金沢市と近郊で、天井裏に入って木部の状態まで見る調査をお受けしています。防除が必要そうなら、そのこともお伝えします。調査の中身については雨漏り診断のご案内をご覧いただくと分かりやすいと思います。