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すが漏りとは?金沢の雪で「雨が降っていないのに漏れる」現象の正体
雨も降っていないのに、天井から水が落ちてくる。晴れた日の午後、急にぽたぽたと音がしはじめる。
金沢や北陸の家では、冬にこういうことが起こります。これは雨漏りではなく、すが漏りと呼ばれる現象です。原因が雨ではないので、屋根に穴がなくても起きる。そして、雨漏りだと思って探しても原因が見つかりません。
私たちおうち修理の窓口でも毎冬いただくご相談なので、仕組みから対策まで、質問の形でお話しします。
Q. すが漏りとは、何が起きているんですか
屋根に積もった雪が、屋根の下のほうで氷の壁を作り、そこで水がせき止められて屋根材の下に逆流する現象です。
順を追うと、こうなります。まず、室内の暖房の熱が天井を通って小屋裏に上がります。その熱で屋根の表面が温まり、上に積もった雪の底面が解けはじめる。解けた水は、雪の下を屋根の傾斜に沿って軒先へ流れていきます。
ところが、軒先には室内の熱が届きません。屋根の面は暖まっていても、外に張り出した軒の部分は外気温のままです。そこへ流れてきた水が、軒先で凍る。
これが繰り返されると、軒先に氷の堤防ができます。英語でアイスダムと呼ぶのは、まさにダムだからです。堤防の上流側には解けた水が溜まり、水位が上がっていく。そして、屋根材の重なりの高さを超えた瞬間、水が屋根材の下へ逆流します。
屋根材の下には防水紙がありますが、防水紙は上から下へ流れる水を想定しています。下から水位が上がってくる状況には対応していない。だから、重なり目や釘穴から中へ入ります。
Q. どうして雨漏りと区別できるんですか
一番分かりやすいのは、天気との関係です。
雨漏りは、雨が降っているとき、あるいは降った直後に出ます。すが漏りは、雨が降っていない日に出る。それも、気温が上がって雪が解けはじめる日中に出ることが多い。晴れた昼過ぎに漏りはじめて、夕方に冷え込むと止まる、という出方をします。
もうひとつ、出る場所です。すが漏りは屋根の下のほう、軒先に近い側から入るので、部屋の外壁側、窓の上あたりに出ることが多い。部屋の真ん中の天井にいきなり出るのは、別の原因を考えます。
そして、季節です。十二月から三月にしか出ない。四月以降まったく症状がないなら、まずすが漏りを疑います。
金沢で「冬だけ漏る」というご相談をいただいたら、私はこの三つを確認します。
Q. 屋根に問題がなくても起きるんですか
起きます。ここが、すが漏りの厄介なところです。
屋根材が健全で、板金もしっかりしていても、条件が揃えば水は入ります。だから、雨漏りだと思って屋根屋に見てもらい、「異常なし」と言われた。それでも冬になると濡れる。こういう行き違いが起きます。
ただ、条件を悪くする要素はあります。屋根の勾配が緩い、軒の出が長い、屋根に雪止めが多く付いていて雪が落ちない、小屋裏の断熱が足りない、小屋裏の換気口がない。こうした家は、すが漏りが起きやすい。
とくに断熱と換気は直結します。室内の熱が小屋裏に逃げると、屋根が温まって雪の底が解ける。小屋裏の換気が悪いと、その熱がこもってさらに解ける。すが漏りは屋根の問題であると同時に、断熱と換気の問題でもあるのはこのためです。
Q. どう対策すればいいですか
対策は、その場しのぎと根本の二段階に分かれます。
その場しのぎとしては、雪下ろしです。軒先の氷の堤防を作らせないよう、屋根の雪を減らす。ただ、冬の屋根に上るのは非常に危険なので、雪下ろし棒で手の届く範囲にとどめるか、業者に頼んでください。毎年のこととなると、費用も手間もかかります。
根本的な対策は、三つの方向があります。
ひとつは、小屋裏の断熱を強化して、屋根に熱を逃がさないこと。天井の断熱材を増やすのが基本です。
ふたつめは、小屋裏の換気を確保して、こもった熱を外に出すこと。軒天に換気口を設ける、棟に換気部材を入れる、といった方法があります。
三つめは、屋根そのものの改修です。葺き替えのときに、防水紙を軒先から一定の範囲、粘着層のある高性能なものに替えておく。逆流してきた水を、防水紙の段階で止める考え方です。金沢で葺き替えをするなら、この仕様は入れておいて損がありません。
Q. 費用はどれくらいかかりますか
対策によってかなり違います。
天井の断熱材の追加は、面積によりますが十万円台から三十万円台。小屋裏の換気口の設置は、軒天に付けるなら数万円から十万円台、棟換気を新設するなら屋根を一部開けるので二十万円前後。
屋根の葺き替えに合わせて防水紙をやり替えるのが、実はいちばん確実です。屋根の改修時期が近いなら、そこまで待って一度にやるほうが効率的だと思います。
金沢市湯涌のお客様で、築30年のお宅を見たことがあります。冬になると決まって二階の窓の上が濡れる、それも晴れた日に。屋根には異常がなく、以前の業者にも原因不明と言われていたそうです。
小屋裏に入ると、天井の断熱材が薄く、しかも一部がずれていました。換気口はありませんでした。屋根の軒先を見ると、氷が解けた跡と水の走った筋がはっきり残っていました。
このお宅では、天井断熱の敷き直しと増し張り、軒天への換気口の設置、それと軒先まわりの板金の手直しを行いました。合わせて三十四万円ほど。翌冬から症状は出ていません。
山側の湯涌や末町、浅野川の上流あたりは、積雪が深く雪解けが遅い地域です。すが漏りの相談は、この方面から来ることが多い。冬に「雨も降っていないのに」という濡れ方をしたら、屋根に穴を探す前に、雪と熱の関係を疑ってみてください。
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風向きで雨漏りする家がある|金沢の冬型・春一番と横殴りの雨
雪の影響を受けた屋根の施工事例を載せています。
【石川県河北郡内灘町】屋根 雨漏り修理 K様邸
冬前に屋根を見ておきたい方へ
冬にだけ濡れる家は、屋根に穴があるとは限りません。金沢市と近郊で、小屋裏の断熱と換気まで含めた見立てをしています。葺き替えを検討中なら、軒先の防水紙の仕様もあわせてご相談ください。点検の流れは散水試験と雨漏り診断でご説明しています。